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            橋立

                                                                       天橋立                                 

 日本三景の一つである天橋立の内海「阿蘇海」(写真右手の海)は、面積500ヘクタール、水深8メートル(最大水深13メートル)の海で、かつては金樽いわしが有名な豊饒な海でした。しかし昭和40年代の高度成長期に富栄養化が急速に進み、いまは4メートル以深は貧酸素ないし無酸素といわれ、泳げない、魚の棲めない海になっています。閉鎖性の海のため大量のへどろが堆積し、窒素、りんなどの栄養物質を溶出し、水環境を悪くしているからです。

 阿蘇海はシベリアなどから渡ってくる水鳥たちの京都府下最大の越冬地でもあります。毎年、十数種類のカモ類が2,000~3,000羽確認されており、京都府の準絶滅危惧種コハクチョウの飛来地、同じく絶滅危惧種ミサゴの生息地としても知られています。

 自然豊かな阿蘇海を蘇らせる方法を模索する中で、へどろから優秀な人工ゼオライトを製造する技術と、ゼオライトを使った生ごみの発酵処理法(宮津方式)を開発しました(2003、2004)。そして2012年より地域から回収した生ごみで発酵肥料を作り、それで無農薬野菜を栽培して地域に販売する「エコの環」(エコのわ)を、高齢者事業として回しています。

 また、へどろに非常に優れた吸湿/放湿特性があることを見付け、それを利用して蒸気吸着式ヒートポンプが作れることを実証しました(2005)。温暖化対策に利用できると考え、いまはその啓発活動と実用化を進めています。

 阿蘇海のへどろは7~8メートル堆積しているといわれ、全量除去することは不可能です。しかし水質汚濁、無酸素水域形成の原因となるへどろから放出される栄養物質は、へどろの表層に濃縮しており、この表層を常に除去すれば海の自浄作用が回復し、阿蘇海の環境は自ずと蘇ることが期待できます。

 私たちブルーシー阿蘇は阿蘇海のへどろを地域、また次世代に利益をもたらす有用資源と捉え、上記技術を活かして阿蘇海の環境修復につなげたいと考えています。へどろ汚染に悩む海は国内、国外の至る所にあり、阿蘇海をへどろ対策のモデルにしたいと考えています。

                  

                             かも                                  コハクチョウ                 ミサゴ

       

《これまでの経緯》

 阿蘇海のへどろから製造可能なゼオライト(粘土)には、大量のプラスイオンを交換吸着したり、湿気やガス、臭いを吸収したり、触媒活性能など多くの用途があります。福島第一原発では放射性セシウムの除去に使われています。しかしいかに多くの用途があっても地元に需要がない限り、ゼオライト製造の事業化は困難です。そこで着目したのが「生ごみ」です。生ごみは栄養がいっぱい詰まった有用資源で毎日大量に発生しますが、いまはそれを無駄に焼却処理しています。ゼオライトには土壌微生物が生息しやすく、生ごみの発酵分解に利用すれば生ごみを資源として活かせるうえに、ゼオライトの安定した需要が確保できます。しかもゼオライトには畑から肥料成分が雨水で流出するのを守ったり、化学肥料・農薬で荒廃した畑の土を若返らせる力があります。こうした理由からゼオライトを使った独自の生ごみ発酵処理法(宮津方式)を開発し、その肥料を使って栄養価の高い甘くておいしい野菜が作れること、色鮮やかなが育てられることを実証しました。そして京都府から「宮津エコの環(わ)構築研究事業」を委託され(2009)、生ごみの循環システム構築についていろいろ模索、試行を重ねました。

 この経験をベースに2012年に「エコの環」事業をスタートさせました。ゼオライトの製造設備はまだありませんが、天然ゼオライトを使って生ごみ循環システムだけでも先行的に確立しようとするもので、高齢者たちだけで地域から回収した生ごみを発酵処理し、無農薬野菜を栽培し、それを地域で販売したり料理として提供する事業を回しています。

                 エコの環

                                                       高齢者事業「エコの環」

 一方、へどろの優れた吸湿/放出特性については、蒸気吸着式ヒートポンプ(蒸気を媒体とする熱の汲出しポンプ)を作る研究を進めました(2005)。かつてアメリカでゼオライトを吸着材とするヒートポンプが提唱され(1978)、電力を要しないこと、構造が極めてシンプルなことから当時非常に注目されました。しかし吸湿ゼオライトの再生(乾燥)に100~200℃の高温度が必要であり、実用化が進みませんでした。へどろは40℃ほどの低温度でも再生が可能であり、吸湿量もゼオライトの3~4倍あることから実用化が可能と考えたからです。最初はヒートポンプで冷水を作ることを目指しましたが、途中で太陽熱を温水として回収する方法に切り替え、太陽熱で高温になった金属パイプの温度を下げ、その熱を温水に変える実験に成功しました(2010)。

                            

        

                       最初に作ったヒートポンプの実験装置               

                                                            

            

  

 《現在行っている事業》 

 1.「エコの環」(エコのわ) 事業  

 調理屑として捨てられる生ごみには、栄養がいっぱい詰まっています。こうした生ごみを焼却処理するのは勿体ないだけでなく、1キログラムあたり25円(宮津市)の経費がかかり、しかも大気や大地を汚します。しかしこの生ごみを「ゼオライト」という土(粘土)で発酵肥料に変えれば、逆に処理費の10倍ほどの価値がある、栄養豊富で身体が喜ぶ野菜に生まれ変わります。

  生ごみ1生ごみ2  「エコの環」野菜

                                                勿体ない生ごみ                                          生ごみから作った「エコの環」野菜

 

             栽培者                

                               「エコの環」の仲間たち                                             「エコの環」野菜のシール

 私達は「無農薬、無化学肥料、無畜糞」をモットーに、地域から回収した生ごみ発酵肥料だけで野菜を栽培し、週に1回、おまかせ野菜の宅配、また訪問、直売などで販売しています。「エコの環」野菜は栄養価が高く、甘くて美味しいと好評です。「エコの環」事業のこれまでの実績(2019年度末)は、生ごみ処理量が42トン、野菜販売額が560万円です。

      野菜   ニンジン

         お任せ野菜の詰合せの例(1500円)        「エコの環」野菜のミネラル分析例

 割烹料理店”すゞ菜”(宮津市須津458-13、☎0772-46-3632)では、「エコの環」野菜を使ったランチを楽しんで頂けます。

                 ランチ

                     「エコの環」ランチ

 2.へどろヒートポンプの啓発活動  

 へどろヒートポンプ」といっても、これに類するものは世の中にまだ存在しません。従って理解してもらうのが非常に難しいのですが、温暖化対策に利用できると考えています。そこで平和堂財団夏原グラントの支援を受け、デモ機を作製しました(2019)。いまはそれを使って各種イベントなどで実験をし、温暖化対策に利用できることを訴えています。また、実用化に向けて開発活動を進めています。

         ヒートポンプ

                    へどろヒートポンプのデモ機

展示1 展示2

                    イベント会場でのデモ実験

             

   

《阿蘇海のへどろによる事業の二本柱

 阿蘇海のへどろを使って①生ごみ循環システム「エコの環」、②へどろヒートポンプによる温暖化対策の二つの事業展開が可能であり、これからはそれらの事業化に向けた活動を展開していきたいと考えています。

         

 

                           阿蘇海のへどろを使った二つの事業

             

       

《SDGsとの関係

 いま私たち人類は、地球が再生可能な量の1.5倍もの資源を使っていて、このままでは地球は持続が不可能になるといわれます。国連は持続可能な世界を次世代に引き継いでいくため、SDGs(17の開発目標)を掲げ、2030年までに達成することを目指しています(残された時間はわずかです)。

          

                       17の開発目標  

   

 阿蘇海のへどろは17の開発目標の内、次の4つの目標解決に役立ちます。

 開発目標14;「海の豊かさを守ろう」

阿蘇海のへどろは7~8メートル堆積していますが、その表層部分を常に資源として有効活用することで、阿蘇海の環境は自ずと回復することが期待できます。

 開発目標15;「陸の豊かさも守ろう」

ゼオライトを使った生ごみ発酵肥料は土壌微生物がいっぱいで、化学肥料や農薬で荒廃した土も、元気な生きた土に若返らせてくれます。

 開発目標12;「持続可能な生産と消費」

生ごみ循環事業「エコの環」は自然の循環を利用したもので、生産と消費の形態は永久に持続が可能です。

 開発目標13;「気候変動に具体的な対策を」

へどろヒートポンプは地上の熱を取り去ってお湯に変えるもので、エアコン電力、給湯エネルギーを削減し、CO2対策、ヒートアイランド・熱帯夜対策になります。

     

《寄付のお願い

 私たちは阿蘇海のへどろを地域社会、また次世代に利益をもたらす有用資源として利用することで、美しい阿蘇海を取り戻したいと考えています。しかし高齢者事業「エコの環」は自立達成率がまだ70%弱で、資金的に大変困っています。

 一方のへどろヒートポンプは類似した技術が世の中になく、実用化を進めるには解決すべき問題もあり、助成金、寄付金がないとなかなか前に進められない状況にあります。

 皆様の温かいご理解、ご支援によりこれら事業が前に進めば、阿蘇海の環境改善への弾みが付き、同時にSDGsの目標解決でお役に立てます。ぜひ皆様のご協力のほどよろしくお願い申し上げます。頂いた寄付金は「エコの環」事業では資材費、修繕費、支払い家賃費などに、へどろヒートポンプの啓発活動では簡単な体感装置(実証装置)の製作費などに使用させていただきます。

 なお頂いた寄付金に対しては、次のような税制上の優遇措置が受けられます。

  ①所得税(国税)の計算における所得控除、あるいは税額控除

    所得控除;寄付金から2,000円を引いた金額を総所得金額から控除できます。

        (例)1万円を寄付した場合;10,000円ー2,000円=8,000円

    税額控除;寄付金から2,000円を引いた金額の40%を所得税額から控除できます。

        (例)1万円を寄付した場合;(10,000円ー2,000円)×0.4=3,200円

  ②京都府在住の方はさらに府民税の控除

    府民税控除;寄付金から2,000円を引いた金額の4%を府民税額から控除できます。

        (例)1万円を寄付した場合;(10,000円ー2,000円)×0.04=320円

            

       

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