野菜と健康

 

 現代人はビタミン・ミネラル・食物繊維が不足した「現代型栄養失調」に陥っているといわれます。大量に宣伝、販売される多くのサプリメントがその実態を示しています。野菜にはこうした不足する栄養素の他に多くの栄養源が含まれており、厚労省・農水省は健康維持のため、一日に350グラム以上の野菜と200グラム以上の果物を食べることを推奨しています(食事バランスガイド)。しかし最近の日本人の野菜摂取量は非常に少なく、287グラムというのが現実です。

(1) 食物繊維

 かつては便通をよくし、老廃物を排泄しやすくするくらいの役割しか認識されていませんでした。しかしその後、腸内細菌のエサとなって善玉菌を増やし、腸内環境をよくする働きのあることが理解され、第6番目の栄養素に位置付けられています。腸は免疫の砦といわれ、免疫細胞の大半は腸で作られるため、腸内を健康に保つことは免疫を上げることになります。

(2) フィトケミカル

 野菜は動物と違って厳しい環境にさらされても逃げることができません。そこで自己防衛のため色や臭い、アク、渋み、苦みなどで自らを守る力を備えるようになったといわれます。フィトケミカル(植物化合物)はそうしたものの総称で、ぶどう酒のポリフェノール、お茶のカテキンなどが有名です。

                          フィトケミカル

                           植物の自己防衛によるフィトケミカルの生成

 私たちは強いストレスにさらされると体内に活性酸素が発生し、それが身体をむしばんで病気や老化の原因になります。フィトケミカルには強い抗酸化作用があり、活性酸素を消失してくれるので、がん、生活習慣病、アレルギー疾患などの予防に有効で、第7番目の栄養素といわれます。

(3) 酵素

 私たちの体内では毎日、約5,000種類もの酵素が作られ、それが「消化酵素」と「代謝酵素」に分かれ、食べ物の消化吸収からエネルギーの産生、身体の成長、有害物質の排泄、免疫反応など、体内のあらゆる仕事をつかさどっています。一方、野菜をスムージーとかサラダにして生で食べると、野菜からも生きた酵素を摂ることができます。こうした酵素は自己消化といって自ら分解(消化)に働くので体内の消化酵素が節約でき、その分代謝酵素となって身体の機能アップに利用できるので、体調改善につながります。年を取ると酵素を合成する力も衰えてくるので、生野菜からの補給や「腹八分」による消化酵素の節約が有効です。

(4) カリウム40

 一般に野菜にはカリウムが多く含まれますが、そのごく一部はカリウム40という放射性同位元素として存在し、微量の放射線を出しながら崩壊しています。一方、私たちの身体の細胞の中では、ミトコンドリアという器官が酸素を使ってエネルギーを作っています。このエネルギーを作るとき、微量の放射線があると反応が促進されます。その意味では日光(紫外線という放射線)を浴びても同様の効果が得られます。日光を浴びると元気が出るのはそうした理由によります。ただし最近の紫外線は強すぎて危険であり、野菜のカリウムで体内から働きかける方が効果的といえます。

 カリウムは調理をするとき、煮たり茹でたりすると水に溶けだしてしまうので、サラダにして食べるとか、汁ごと食べるスープにして摂るのがよいといえます。また、カリウムにはナトリウムを体外に排泄する作用があり、塩分の摂り過ぎが原因の高血圧の予防や治療に有効だといわれます。

 

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